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砲丸が・・頭に

2月29日の朝
横浜の中学校で砲丸が後頭部に当たり重傷とのニュース記事を読み

私は、自分の心の奥底にしまい込んでいた
心の傷をまた思い出してしまいました。


あれは
私が中学1年の1学期でした。

校庭のトラック内にいて、ソフトボールを取ろうとしゃがみ込んだら
首がガクッときて目の前の芝に砲丸が落ちました。

それは私の後方から女子生徒が砲丸を投げ
それが私の左後頭部に当たって地面に落ちたものでした。

よくマンガでぶつかって星が出る絵が登場しますが
まさにそれと同じで

砲丸が後頭部に当たった瞬間は
何が起こったか分からないけど
星が目の前をチカチカわーっと出てきて

地面に落ちた砲丸を見て
これが頭に当たったんだ、頭だから動かしたらいけないと
静かにゴロっと寝ころんだのを覚えています。

痛すぎて涙が出ませんでした。

当てた同級生は私が死ぬと思って泣いていました。

教員や生徒が集まってきて
大騒ぎになっていました。

近くの小さな医院に運ばれレントゲンを撮ったら
頭蓋骨にヒビが入っているから
2週間以内に戻したら死にますと言われ

私は「えーっ、私、死ぬんですか?」と言ったのですが
教員たちは黙ったままで

私を心配して声をかけたり励ましたりする人は
一人もいなくて

自分たちの責任問題のことを話していました。


ショックでした。
すごいショックでした。

私の家に連れていかれ布団に寝かされました。
その間、父と話しているようでしたが

事故があったときも
学校側はその事故そのものを隠すのに必死だったのでしょう
両親に事故の連絡をしなかったそうです。
職場の人から聞いたとのことでした。

その翌日
脳外科の有名な医師に診てもらいました。

CTで見る私の頭蓋骨や脳
これから話される診断
緊張していました。

でもその医師の第一声は

「あなたは強運の持ち主だよ!」でした。

中学1年生の私の質問にも
1人の人間として丁寧に真摯に答えてくださいました。

「人間の頭蓋骨の厚さは同じじゃないんだよ。
厚いところもあれば薄いところもある。
あなたが当てられたところはたまたま厚いところで、
あと10センチのところにが脳天だから
そこに当たっていれば死んでいたと思うけど、
その2つも偶然が重なってあなたは助かったんだよ。
頭蓋骨にもヒビは入っていないから」と。

「後遺症の心配はないけど
頭に鉄の塊が当たったから全くないわけではない。
あるとすれば10年くらいは片頭痛に苦しむかもしれないけど
命に別状はない、大丈夫、嫁にも行かれる」とおっしゃいました。

いくら命に別状はなくても頭に砲丸が当たったんだから
2週間は体育などの運動はしないようにと言われました。



その翌日、学校に行きました。
学校も勉強も好きだったので、行ってしまったんですよね。

校内放送で校長室へ呼ばれました。

校長室!?
何だろう?心配してくれているのかな?

「脳外科に行ってどうだったの?」
そう聞かれ、
「命に別状はないそうです」と答えると

「そう、命に別状はないんだね。
だったら、今回のこの件は無かったことだから
いいね。この砲丸の件は何も無かったことにするから。
あなたは頭がいいから、言ってる意味は分かるよね。
それと
成績を下げないようにしてね。
成績が下がると砲丸のことが表に出るから。
他の人や友達の親に聞かれても(何のこと?と)
とぼけるように。当たったあなたより、当てた人が傷ついているんだから」
と言われ

私のショックは言葉では言い表せませんでした。

2週間休むようにと言われていた体育も部活動も
体育の教員は休ませてくれませんでした。

「病院の先生に2週間休むように言われているので」と
部活動をせずに帰っていたら

腕をつかまれ部活動に連れて行かれました。
「お前が部活動を休むと砲丸が表になるだろう。
校長先生にも無かったことにすると言われただろう?」と。

つかまれた手首は内出血していました。

教育委員会にも報告していなかったようです。

病院代も治療費も両親が払っていました。
でも
両親は学校の文句も一言も言わず

「あなたの命が一番大事。あなたが助かっただけでいい。」と
涙が出るようなことを言っていました。

私が、死ぬかもしれないと恐怖におののいているとき

教員たちは誰一人として、砲丸のことに触れないように
私の心配をして声を掛ける人はいなかったのですが
(あ、保健の先生は心配してくれました)

母は「どんなことがあっても、お母さんがあなたを
死なせはしないから大丈夫」と言ってくれ

その言葉がどんなに私の支えになったかしれません。

それから10年くらいは強度の片頭痛に苦しみましたが

あの脳外科の医師がおっしゃったように
それ以降は強度の片頭痛はなくなりました。

砲丸が当たったところは
暫くの間、ハゲて髪が生えてこなかったのですが
今は大丈夫です。
でも、当たったところは今も小さく腫れていますが。


許すことで生きてきました。

命が大事、あなたが生きているだけでいいと
言った母の言葉を胸に。



それでも時々
こういった砲丸の事故がニュースになるたび
心が痛みます。
胸が苦しくなります。

許しているはずなのに。






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はっこう

はっこうです。

読ませていただきました。
おつらい思いをされたのですね。
きっと人間不信になられたのでしょう。
この事故は犯罪被害のひとつと言えます。
被害者は何も言えず、許すことでしか生きていけないのが現状です。
はっこうもさまざまな被害者の声を聞いてきましたが、皆一様に苦しみのはけ口がありません。
今ではブログがあります。
そこで吐き出していきましょう。
それから、今後は必ず警察や検察庁、教育委員会など当該行政機関へ出向いて下さい。
日本は大きく犯罪被害支援へと動こうとしています。
警察や検察庁は本気で取り組んでいます。
それと良き行政担当者に巡り合うまで声を出していくことです。
もしよければはっこうの「ベストチョイス」を読まれて下さい。
きっとお役に立てるかと思います。
これからもよろしくお願い致します。


by はっこう (2008-03-01 22:12) 

みるう

はっこうさま。こんなに早く読んでくださってありがとうございます。記憶喪失になりたいくらい苦しんだ時期もありました。どこかで救いを求めながら。
「ベストチョイス」読んでいきます。ありがとうございます。
by みるう (2008-03-02 00:09) 

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